藤原忍さん

藤原忍さん

日本の端っこを巡る旅で見つけた、自然と食の豊かな町。地域おこし協力隊として地域の交流拠点で働き、古民家で暮らす。

千葉県出身で、東京では目まぐるしい会社員生活を送っていた藤原忍さん。日本の「端っこ」を巡る旅を経て2023年7月に太田地区へ移住し、地域おこし協力隊として「交流センター 太田の郷」で活動を開始しました。現在は「太田の郷」での幅広い業務に携わる傍ら、大好きな古民家での生活やネイル、DIY、味噌作りと多彩な活動を楽しんでいます。

毎日がキャンプの延長のような、古民家での楽しい暮らし。

-太田へ来られたきっかけは何ですか?

以前はずっと東京で仕事をしていて、まったく休みがないような生活を送っていました。仕事を辞めた時、「今しかできないことをしよう」と思い、行きたかったところを巡ることに決めたんです。日本の「端っこ」が好きで、北海道の海岸沿いを旅したり、沖縄へ行ったり、一ヶ月以上の休みがないと行けないような場所を、キャンプをしながら回りました。

そのなかで、特に興味を持ったのが那智勝浦町だったんです。豊かな自然や美味しい食事、温泉までそろっている。東京の自宅に戻ってから、すぐに移住に向けての情報収集を始めました。そこで地域おこし協力隊の募集を見つけ、仕事と住まいがセットで見つかるのは「お得だな」という気持ちもあり、こちらに引っ越してくることを決めました。

「太田の郷」の向かいに広がる風景

-移住前と、実際に暮らし始めた後で、何かイメージのギャップなどはありましたか?

ギャップは特に感じていないですね。移住というよりは、引っ越しをするくらいの気軽な感じでした。気持ちの持ち方次第で、どこでも楽しんで暮らしていけると思っているので、不安もなかったです。実際に来てみたら自然がすぐ近くにあって、毎日がキャンプの延長線上にあるような感覚ですね。2年半ほど経ちますが、今も毎日が楽しいなと感じながら過ごせています。

特に今住んでいる古民家が好きで。家のなかに竈(くど)とか囲炉裏があって楽しいんですよ。基本は一人が好きなので、普段は自分のペースで過ごしていますが、時々興味を持った人が来て、一緒に竈でご飯を炊いて食べたりもします。薪と羽釜でご飯を炊く、それだけで楽しいなと思います。

「太田の郷」で感じる仕事のやりがいと、ちょうどいい充実感。

-「太田の郷」ではどのようなお仕事をされていますか? 一日の流れを教えてください。

今は基本的に「太田の郷」の運営に携わり、イベントや事務作業、フライヤー制作など何でもやっています。月、水、金曜日の朝は、「太田の郷」に野菜を卸している近所の農家のおばあちゃんたちの家を回って、野菜を回収してくる仕事があります。この辺りには、車の免許を返納してしまって運ぶ手段はないけれど、野菜は元気にたくさん作っているというおばあちゃんたちが何人もいるんです。

そうしたおばあちゃんたちの家を回って野菜を預かり、ここで売る準備をしたり、大量のお弁当を配達に行ったり。あとはヨガやピラティスの教室がある時の対応ですね。生徒さんたちがいっぱい来られて買い物をしたりするので、その対応もします。午後は事務作業をしたり、イベントのチラシを作ったり、売上の管理をしたり。やることは多くていそがしいですが楽しいですよ。

-やりがいを感じるのはどんな時ですか?

何かしてあげると、みなさんすごく素直に喜んでくれるんです。それが嬉しいですし、あとは仕事のなかで新しいことを覚えるのも楽しいです。チラシ作りやお味噌作りも全然やったことがなかったのですが、やってみると奥が深くて。大変さを実感することも含めて、今まで経験してこなかったことに挑戦できるのがやりがいになっています。

「太田の郷」では、地域の農家さんが育てた野菜やお米などの産品を販売している

地域の温もりに触れ、多彩な手仕事と挑戦を楽しむ。

-仕事以外の時間や休日はどのように過ごしていますか?

休みの日も結構いそがしいんですよ(笑)。最近は家でネイルサロンをしていたり、竈で使うための薪を作ったりしています。あと、暖かい時期は少し畑をやってみたり、草刈りをしたり。DIYも好きなので、ホームセンターで木材を買ってきて、家のなかにちょうどいいサイズの棚を作ったりもしています。

一人暮らしなので、竈でご飯を炊くのは月に1、2回くらいの頻度で、あとは冷凍ですね。ここでの生活は車がないと大変です。反対に自動車生活なので、都会にいる時より歩く機会が少なく、運動不足になりがちです。でも大変なことといえばそれくらいで、ほかは特に困ることはないですね。

-この地域の自慢できるところや、今後の目標を教えてください。

自慢できるところは、やっぱり「人」かなと思います。良い意味で人と人との距離が近くて、東京では味わえなかったような温かみを感じます。何か困ったことがあるとパッと集まって助けてくれますし、ちょっとした家族のような安心感があります。みなさん世話焼きなんですよね。インターンで来る学生さんも結構いるんですが、みんな地域の人の壁のなさと温かさに驚いて帰っていきます。

今後の目標としては、最初はお味噌作りを基盤に生計を立てていけたらと思っていたのですが、「太田の郷」も人手不足なので、協力隊の任期が終わった後もまずは「集落支援員」として、一年ほどここで働きながら様子を見ようかなと思っています。あとは、こういうところでしかできないことがしたいですね。狩猟の免許は取ったんですけど、時間がなくてできてないんです。やりたいことが多すぎて、自分が三人くらい欲しい(笑)。「太田の郷」の仕事もしつつ、徐々にお味噌作りやネイルの時間など、活動を広げていけたら理想ですね。

・Instagram:交流センター 太田の郷

« »