海辺で楽しくお土産探し
穏やかな波に運ばれて流れ着く、貝殻やサンゴのかけら、ウニやヒトデの骨格。ビーチクリーニングと聞くと、環境保全や社会貢献といった少しかしこまったイメージを持つかもしれませんが、主催の西山十海さんは「ビーチクリーニング自体が面白いので。楽しみながらすることで、持続可能な活動として地域に貢献できれば一番良いと思います」と話します。
ビーチクリーニングで歩くのは、昔尼さんがエビや貝などを獲りに歩いた道です。自然の中の宝探しや土産探しの気持ちでビーチクリーニングしながら1時間ほど行くと、到着するのは波の浸食によって岩が削られてできた洞窟。潮が引いた時のみ入ることができる神秘の海蝕洞です。今後は、小学生などの団体様向けや、歩き慣れた少人数のお客様向けなど、安全を確保した上で、参加される方に合った体験を楽しんでいただけるように考案中です。
海岸を歩いて見る生活の先
世界では、プラスチックゴミだけでも毎年約800万トンが海に流出していると推定されています。漂流するプラスチックごみは生態系にさまざまな悪影響を与えるだけでなく、細かな「マイクロプラスチック」となって魚の体内で濃縮され、私たちの食卓にまで届きます。西山さんが活動する浦神湾では、ここ20年間で海産物の量が大きく減少し、目に見えて実感させられる変化があるといいます。
西山さんは、「脱プラスチックといっても、その悲惨さや大変さは実際に見てみないと中々わからないところもあると思います。教育面で言えば、親御さんの中には子どもさんに環境に対する理解を深めてもらいたいと思っていらっしゃる方もいるかもしれません。学びたいと思っている人と、地元の海をきれいにしたいと思っている人のニーズが合えばいいかなと思っています」。
800万トンという途方もないような数字ではありますが、ビーチクリーニングを通して日常生活の見方やあり方が変われば状況はもっと良くなっていくかもしれません。体験を終えるころには、ビーチクリーニングならではの達成感も味わえるはず。楽しみながらできるビーチクリーニング体験が、参加者のみなさまにとっての学びや気持ちの良い生活に繋がりますように。
※天候や潮位などによってコースや体験内容が変更になる場合があります(変更後の体験は海岸で拾った貝殻などを使ったクラフト体験等を予定)