和歌山県那智勝浦町の太田地区にある大泰寺。約1200年の歴史がある大泰寺では、お寺に宿泊できる宿坊があるだけでなく、テントサウナ体験、写経体験、坐禅体験なども提供しています。それらの体験の中に、朝粥体験があります。ただお寺に宿泊するだけでなく、お寺の食事も体験していただくことで、心と体の健康を提供したいそう。「温かいお粥は血行を良くし代謝を上げることで知られており、体の内側から健康を作ることができるんです」と西山住職は語ります。
現代にも繋がる修行僧の作法
また、昔からお寺の修行僧は食事の際、 “声を出してはいけない ” という決まりがあるそう。声を出さずに、「おかわり」や「もういらないです」のコミュニケーションを取ります。今のご時世、感染症予防のために「黙食」と言われていますが、閉鎖的な環境下で修行をしていたお寺では、当時から感染症を蔓延させないために、食事の際は喋ってはいけなかった、という話を住職よりお聞きしました。いつの時代も、感染症は食事の際に蔓延する、と考えられていたのですね。詳しい作法は、朝粥体験の際と、体験前に配布する動画で丁寧に解説してくださるそうなので、初めての方でもお気軽に参加できるのではないでしょうか。
穏やかな1日の始まりに
日常生活での食事と、食べるものも、作法も異なれば、食事にかかる時間も多くなるお寺での朝食。朝露が残り、小鳥の囀りが響き渡るお寺の境内でいただく朝粥は、1日の始まりをとても穏やかなものにしてくれそうです。