旨味がギュッと詰まった、赤身のジビエ肉
ジビエは、古くからフランス料理において高級食材として重宝されてきました。クセがあり食べにくいイメージを持たれることもありますが、動物の種類や処理の仕方によって、とても美味しくいただけるお肉です。野生で育った動物は運動量が多く、脂っぽさがないため、赤身の引き締まったお肉が好きな方には特におすすめです。
鹿肉は、綺麗な赤身で比較的やわらかい部位が多く、クセもないのでジビエ初心者の方にも食べやすいジビエの一つ。高タンパクで鉄分などの栄養も多く、低カロリーなので女性やアスリートにとっても嬉しいお肉です。脂が少ないため、弱火でじっくりと調理するのが美味しくいただくための基本。鹿肉のローストや煮込み料理が定番です。
脂がのった猪肉は、ジューシーでありながら、しつこくないのが特徴。鮮やかな赤身をスライスし、ぼたん鍋やすき焼きにして食べると噛むほどに旨味があふれ出します。
自然のなかで生きている動物は常に一定の餌を食べられるわけではないため、ジビエのお肉は季節によっても味や食感が変化します。鹿肉を特に美味しく食べられる時期は、春に芽吹いた木の芽を食べて、良質なタンパク質や豊富な栄養を蓄えた初夏から秋にかけて。猪は、冬を越すために丸々と肥え、脂がのってきた秋から冬が美味しい時期になります。
ジビエを食べ、色川を知る
もともと、色川では捕獲した鹿や猪の肉を、自家用や周辺の人たちで分け合ってジビエを食べていました。一方で、野生動物たちによる農作物の被害は減らず、村の人たちからは獣害対策を必要とする声があがっていました。その声に応えるように、色川出身の原裕(はらひろし)さんが、獣害対策の一環として衛生管理ができるジビエの解体処理施設「だものみち」を設立。捕獲した野生動物の肉の販売を行うとともに、「人と獣の良い共存関係を築くことが目的」だと原さんは言います。
現在「だものみち」で扱っているお肉はほとんどが鹿肉です。村の猟師さんから捕獲の連絡が入ると、ご自身も猟師の免許を持つ原さんが直接現場へと駆け付けます。捕獲の状況や肉の状態を見て、その後の処理の仕方を考えるためです。品質の良いものは、解体してそのまま食肉用に精肉。品質は落ちるものの食べられるお肉も無駄にせず、ペットフード用に加工して販売しています。
原さんは解体処理施設の運営だけでなく、「暮らし方、生き方を考える」狩猟体験ツアーを開催するほか、何かのイベントがある際には、「ラーメンひろし」の名前で色川でとれた有機野菜とジビエを使ったラーメンの提供もしています。解体処理施設の隣には、土曜日限定の「体験レストランAima」もあり、原さんが解体したジビエを実際に食べることができます。
ジビエを食べてみたいと思った方は、「だものみち」の公式サイトをご覧になるか、原さんにメールでご連絡ください。また、直接色川の解体処理施設を訪れたいという方も、都合により対応できない場合があるため、事前に原さんにご連絡のうえ足をお運びください。